往還 気づかないふりをするのに 疲れた いや 飽きてしまった 不意打ちに会い (そうだったのか) 隠されていたことを (とうに気づいてはいたが) いまはっきりと受け止める アスファルトの広い道 交差点の中央が急に盛り上が… 続きを読む 荻悦子詩集「樫の火」より~「往還」
カテゴリー: 詩・小説・随筆・絵画・版画
荻悦子詩集「樫の火」より~「徴」
ようやく秋本番といった季節になりましたが、みなさま如何お過ごしでしょうか。秋と言えば読書の秋。新宮市熊野川町出身の詩人・荻悦子さんの詩の世界に浸ってみませんか? 昨年、出版されたばかりの詩集「樫の火」(思潮社)の中の一遍… 続きを読む 荻悦子詩集「樫の火」より~「徴」
荻悦子詩集より~「タスマニア」
タスマニア コーティングされた紙の表面が照り タ ス マ ニ ア 零 時 至急返事をお送り下さい しゅわっと浮いて吐き出 されながら 床に届く前に 不均衡に巻き上がる こち ら 何時であっても 自在ではない… 続きを読む 荻悦子詩集より~「タスマニア」
荻悦子詩集より~「インスタレーション」
インスタレーション 金属の棒で引っかいた跡 そのようなひび割れもすぐに 崩れる 砂だからと呟くのは アランまたはメイ 白く 乾いた 乾かない時は肌色の そう貴方がた東洋の人の 肌の色にちかい砂 では青みを帯… 続きを読む 荻悦子詩集より~「インスタレーション」
荻悦子詩集より~「砂の数行」
砂の数行 左の耳の下に左腕を敷いた姿勢で目覚める 玉砂利の岸 に打ち上げられている ひりひりする痛さ ここはあな たが書き始める言葉のありかだと感じる わたしはあな たのペンの先からにじむ黒い雫 紙に落ち … 続きを読む 荻悦子詩集より~「砂の数行」
荻悦子詩集より~「痕跡」
痕跡 こがれる こがれる巻き貝の眠り 自ら紡いだ石灰質の 螺旋のままに 身を沈めていく 底の尖った窪みの一点 まで しゅるしゅる開店する身体 轤に回る陶土のよう に 脹らみ細まり やむことのない変幻 沈んで… 続きを読む 荻悦子詩集より~「痕跡」
荻悦子詩集より~「蜂」
蜂 書物を広げ 語りかける老人の背後に 丘に向かう石段がある 不揃いな自然の石を集めて 傾斜はゆるい 青い花を咲かせた釣鐘草が 細長い茎を捩じるように揺れ 大きな蜂が二匹 波のように交互にやって来ると 淡い… 続きを読む 荻悦子詩集より~「蜂」
荻悦子詩集より~「星群」
星群 シンバル わわっと背を揺すられる その後ろで ヒューと 花火のように 高く昇っていく音 ペルセウス座流星群が見えるかもしれない 明かりは消してある ベランダの天井が仄白い そこに 柱の影が折れて二本 … 続きを読む 荻悦子詩集より~「星群」
荻悦子詩集より~「薔薇の谷」
薔薇の谷 ひそかに 父の椅子を外して 始まった秋 大きな実がはじけ 鳥が群がる あらゆる方角で 歓声ばかりが大きく 熟れすぎてか 熟れないままでか 実はみずから あらわに皮を剥ぐ どこから取りつくにしても … 続きを読む 荻悦子詩集より~「薔薇の谷」
新発見!谷中安規の「桃太郎」草稿
今回、あらたに谷中安規の『童話絵本 桃太郎第一稿本』草稿11枚(含む・表紙)が見つかりました。左上に、「慵斎先生、息 方哉君への童話絵帖作成スルニツイテノ参照本」の書き込みがあります。「慵斎先生」とは、この頃佐藤春夫が号… 続きを読む 新発見!谷中安規の「桃太郎」草稿