燕 浮いたとたん 狂ったような速さ 激しく沈み 急に向きを変える ああっ ぶつかってくる 思わず目をつむる人の 頭上すれすれに 数羽 やみくもに飛ぶ 曲がり角 きれいに反れ 生け垣の 繋がった枝葉より低く … 続きを読む 荻悦子詩集より~「燕」
カテゴリー: 詩・小説・随筆・絵画・版画
荻悦子詩集より~「終わりの空」
終わりの空 丸い錫の写真立てに 入れておくのは 他人の冬 夢と呼ぶな 幻とも なつかしい なかった聖日 ここではない土地の 雪の降る祝日 椅子に上着を掛けたまま 人はわけもなく人を呼んで なごりの空を眺めに立った 裸木の… 続きを読む 荻悦子詩集より~「終わりの空」
荻悦子詩集から~「ラベンダーが咲く斜面」
ラベンダーが咲く斜面 ラベンダーが咲き 花の色が広がって行く 草地から突き出た岩が いたる所で花を阻もうとするが ラベンダーの花は斜面を埋めて行く 梨の木が曲がり 桃の木が傾き 切り立った岩だけの稜線が こ… 続きを読む 荻悦子詩集から~「ラベンダーが咲く斜面」
荻悦子詩集より~「石塁」
石塁 不揃いな石塁は むかしの人が積んだ 石は日に晒され 草の斜面に くねくねと連なっている わたしは俊敏な獣だった 羊の脇を駆け抜け いつもは石塁をひと飛びで越える 急な斜面を走り 遥か下方の川を目指す … 続きを読む 荻悦子詩集より~「石塁」
荻悦子詩集「樫の火」~熊野新聞で紹介される!
10月7日付の熊野新聞に、詩人荻悦子さんの紹介記事が掲載されました。 ——————————̵… 続きを読む 荻悦子詩集「樫の火」~熊野新聞で紹介される!
荻悦子詩集より~「運河」
運河 キャナールでは 何を話せばいいのか うねらないクラリネットは 膝ほどの水位 右足がもたついて カポックの蔭 女の人たちの名前は忘れてしまった 窓際に沈むにしても 泥の水面 運河の水はほとんど動かず 葉のまばらな木々… 続きを読む 荻悦子詩集より~「運河」
荻悦子詩集より~「荒地のアーモンド」
荒地のアーモンド 明け方 荒れ地を伝って来た風が 木枠の窓を揺すった 光の筋が裂かれ 壁の上で目まぐるしく踊る この風がアーモンドを落とすだろう だが その音は聞こえず 男の歌声をかすかに聞いた 呟くように… 続きを読む 荻悦子詩集より~「荒地のアーモンド」
荻悦子詩集より~「雨の午後のレッスン」
雨の午後のレッスン 青年の方に首を巡らせ 自分の胸の辺りから 滞った空気を掬いあげるような目つきをして ピアニストが 曲の解釈を述べ立てている その根拠のほとんどは 同じ主題を扱った画家の絵や 言葉で書かれた… 続きを読む 荻悦子詩集より~「雨の午後のレッスン」