タスマニア コーティングされた紙の表面が照り タ ス マ ニ ア 零 時 至急返事をお送り下さい しゅわっと浮いて吐き出 されながら 床に届く前に 不均衡に巻き上がる こち ら 何時であっても 自在ではない… 続きを読む 荻悦子詩集より~「タスマニア」
タグ: 流体
荻悦子詩集より~「インスタレーション」
インスタレーション 金属の棒で引っかいた跡 そのようなひび割れもすぐに 崩れる 砂だからと呟くのは アランまたはメイ 白く 乾いた 乾かない時は肌色の そう貴方がた東洋の人の 肌の色にちかい砂 では青みを帯… 続きを読む 荻悦子詩集より~「インスタレーション」
荻悦子詩集より~「砂の数行」
砂の数行 左の耳の下に左腕を敷いた姿勢で目覚める 玉砂利の岸 に打ち上げられている ひりひりする痛さ ここはあな たが書き始める言葉のありかだと感じる わたしはあな たのペンの先からにじむ黒い雫 紙に落ち … 続きを読む 荻悦子詩集より~「砂の数行」
荻悦子詩集より~「痕跡」
痕跡 こがれる こがれる巻き貝の眠り 自ら紡いだ石灰質の 螺旋のままに 身を沈めていく 底の尖った窪みの一点 まで しゅるしゅる開店する身体 轤に回る陶土のよう に 脹らみ細まり やむことのない変幻 沈んで… 続きを読む 荻悦子詩集より~「痕跡」
荻悦子詩集より~「蜂」
蜂 書物を広げ 語りかける老人の背後に 丘に向かう石段がある 不揃いな自然の石を集めて 傾斜はゆるい 青い花を咲かせた釣鐘草が 細長い茎を捩じるように揺れ 大きな蜂が二匹 波のように交互にやって来ると 淡い… 続きを読む 荻悦子詩集より~「蜂」
荻悦子詩集より~「星群」
星群 シンバル わわっと背を揺すられる その後ろで ヒューと 花火のように 高く昇っていく音 ペルセウス座流星群が見えるかもしれない 明かりは消してある ベランダの天井が仄白い そこに 柱の影が折れて二本 … 続きを読む 荻悦子詩集より~「星群」
荻悦子詩集より~「残響」
残響 投げられた マンドリン 波うち際 胴の中を走る 微量の砂 波のざわめきを割って ゆれあがる残響 硬く厚く 明け方 壁の海図に 亀裂を走らせる いくつもの半島 横たわる湾 砂丘をなぞり 汀をなぞり 見知らない海鳥の影… 続きを読む 荻悦子詩集より~「残響」
荻悦子詩集~「流体」
流体 なぜ馬なのか それも白い 疾走する肢体が 薄明のなか 青ざめて見える 濡れた砂に 私が残した旋律 わたしの歌はやがて乾き 砂はうねって丘をつくった だが やさしい稜線 などと なぜ感じるのか 大きく揺れあがる馬の背… 続きを読む 荻悦子詩集~「流体」
荻悦子詩集より~「光と球体」
光と球体 ものの影を重ねて ゆがんだ球体 空洞が ぽってりと座っている 忘れられている もつれて躍る光は 球面に漉され 過去はひとつの和音にこごる ひとすじ溶け出した雫か 生まれ出た力は われ知らずあふれ … 続きを読む 荻悦子詩集より~「光と球体」
荻悦子詩集より~「蝶と日時計」
蝶と日時計 文字や標が 刻まれて円状に並び 古い石盤は乾いている 正午前 中心部近くに 黒い蝶が遭難した 翅を広げ 翅をすり合わせ あざとく見える 黒い蝶 その影はたよりなく 震えてうすく 正午の標までは届… 続きを読む 荻悦子詩集より~「蝶と日時計」